No.45: 残業代のカウントは
15分単位じゃいけないの?



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残業代のカウントは15分単位じゃいけないの?

どこが問題なの?

という声が聞こえてきそうです。
僕が派遣で回った会社の多くの企業が、 この15分ルール適用してまして、実際、多いような気がします。

けどね… 公式的にいうなら…
それ法律違反です。

原則、1分単位で労働時間をカウントするというのが ルールです。法律であります。

そうはいっても‥
悩ましい部分があるのも事実でして
前に僕のブログNO3で書いているのですけど…
(前の記事はコチラ

今般、令和5年度の東京都労働局からの申告事案の概要が公開されまして・・・
その中に「15分単位はアカン!」とあったものですから また、書いてみるかと思い立った次第…


 


 東京労働局公表 令和5年度労働基準官監督署対応状況


厳しくなる行政の対応…

24年6月28日東京都労働局がプレスリリースで、令和5年の管内の労基署に労働者から 申告があったものに対する対応状況が公表されました。行政の該当HPはコチラ
概要は以下の通り
1申告受理件数:4,002件(前年比825件増)
2申告内容(申告内容別の件数:4,508件)
 賃金不払及び解雇の申告件数が増加した。
  ⑴ 賃金不払: 3,094件(前年比671件増)
  ⑵ 解雇: 498件(前年比114件増)
  ⑶ 労働時間: 68件(前年比2件増)

この中で対応事例が4件示されていたのですが、うち1件の記載が以下の通り


退職した労働者から、15分未満の労働時間を切り捨てて賃金が 計算されていたという申告を受け、調査したところ、事実であることが判明したため、 是正勧告を行い、不払いの全額が支給された。

上記ではっきりと15分単位はアカンとあります。
しかし明確に1分単位で…と書かないところに…
内緒の話…行政でも悩みがあるのかなぁ…と個人的には思っています。

ちなみに私、
社労士の存在を知る前、 2回目の会社で労基に入られまして…
で、私が担当することになりまして…
約半年にわたって指導を受けました。

まあ、指導事項は、いろいろあったのですが・・・
残業代も指摘されまして…
15分単位で、半年分計算して、従業員各位に 払う形になった思い出があります。

労基署の官曰く、
最初は1分単位で… というんですけど…
実質的に、そんな計算…とお話をしたら、 15分単位で許してもらいました…

ちなみに臨時収入が入って、同僚諸君は、多いに喜んでました。

もう10年以上前のことなんで…
今は…ということでしょうか?
僕の見た感じ…行政の対応は厳しくなっていると思います。

故に、 文書で公に15分単位はあかん…と言っているので、 例えば、内部告発があった場合は、 1分単位で…というご指導と共に 過去にさかのぼって払えということになるかと…

じゃあどうする?1分単位で残業をカウントするのか?

今は、電子的な勤怠も入り、1分単位の労働時間のカウントも 機械的には可能だと思います。
しかし、多分、こういう声がでてくるかと…
仕事は終わって、打刻するまでの時間差はどうする・・・?
仕事していないその時間もつけなくちゃいけないのか?

対して従業員は、こういうんじゃないでしょうか?
え!けど…打刻する場所が就業場所と離れているから…
当然、その分つけてくれるよね…
工場勤務の場合、作業着にきがえるんだから、 それも労働時間に加えて頂かないと…

あと、朝早く来て、打刻して、コーヒー飲んで 時間をつぶしているのは、どうする?

考えれば、考えるほど、難しい問題です。
僕、工場勤務をしたことがありますが、 着替え時間は、当然のように労働時間にカウントされていません・・・
しかし、
実際には、某造船所で、着替えは会社で要求していることだから 労働時間として考えるべき…という判例もあるのです。

労働者にとっても事業者にとっても、実際問題、 1分単位で正確に労働時間を把握できることは難しい…と僕は思います。

それで、よく使われるのが、含み残業という制度です。
最初から3時間とかつける形で給与体系を設計するのです。

そうすることによって、この課題は解決します。
さらに、これは言っていいか?少々迷うのですが…
残業のベースになる基本給等の金額もその分、抑えられるので、結果的に経費節減の方向に働きます。
また、例えば、実情に合わせて20時間の含み残業を加えた形で給与を示したとすると、 求人の際、多少、見栄えがよくなります。
例えば、月所定時間160時間 残業が20時間前後生じる人員の募集をする際
〇週5日1日8H基本給20万円に残業代を支給
〇週5日1日8H給料23万円(残業代20h含む)
はどちらが見栄えがいいか?ということです。

やはり総額が多いほうが…集まるような気がします。
但し、「残業代20Hを含む」という部分を目立たなくして、 条件を本来あるべき姿から逸脱するような書き方はあまりお勧めはできません。
給与は従業員の最も大切な部分であり、そこに欺瞞的なものがあれば 会社と従業員の不信感を膨らませることになりかねないからです。
入社してすぐ不満を持たれるのは…どうかと…
僕自身、40万円の求人につられて応募したことがあるのですが、 含み残業40時間がセットで、かつ、実態として40Hを超えても 払われないということがありました。
じゃあ…含み残業〇時間つければいいのか?というと…
その時間内に残業時間が収まればいいですが…
その設定した含み残業時間を超えた場合は、 1分単位での残業計算が発生するわけで…
(払わないブラックさんもいらっしゃるようですが…違法です)
簡単に解決というわけにはいかない課題です。
実際の会社の状況に応じて考える必要がある…と思います。

あと大切なのが、打刻を正確に行わせるようにすることが 必要であり、朝の打刻は、「仕事開始9時からなのでカウントしない」 「定時後の残業時間については、ちゃんと申告してもらって これを管理者が確認をして残業時間をカウントする」等 従業員とのコンセンサスをしっかりととって その通りに運営することが肝要と思います。

色々とご事情はあるので、画一的な運用はないと思います。
しかし、置かれた状況を踏まえて、従業員とコンセンサスを しっかりととって、対応するならば、 行政から指摘されるようなことにはならないと思います。



 

 



そのほか、労働時間に関する規定について

賃金計算上の端数の扱いについて

社労士試験でときたまでるとこなんですけど… 1時間あたりの基礎賃金や割増賃金に1円未満の端数が出たときは
50銭以上1円未満⇒1円に切り上げ
50銭未満⇒切り捨て
がルールです。

また、現金で給料を払う時代の名残の規定が以下になります。
しかし、銀行振り込みが当たり前の世の中、端数があろうと 払えてしまうので、これを運用している人は少ないかと…

1か月単位の残業時間等のカウント
 30分未満 → 0
 30分以上 →1時間

1ヶ月の賃金支払額に1000円未満の端数が出た場合、
その1000円未満の賃金額を、翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことが可能です (ただし、就業規則にその旨定める必要があります)。

1ヶ月の賃金支払額と50円未満・以上の扱い
50円未満を0円、50円以上を100円として運用することができる

遅刻した時の労働時間のカウントは?

よく、懲罰的に、遅刻した人の労働時間の削減分を 30分単位で…みたいな話は聞きます。

今までの話を聞くと…違反だよね…
となるかと思いますが…

実は、状況次第です。

懲罰的なことは、事前に、就業規則等で周知しておく必要があります。
就業規則で、遅刻した場合は15分単位で、労働時間から 減らす等の定義をしていれば、問題ないということになります。

大事な論点なので、もう一回言います。
就業規則等で規定していない罰則規定等は無効となります。
また、その規定を従業員にしっかりと周知しておくことも条件です。
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対して、就業規則なしに、30分単位で時間を削ったり、 罰金をとることは違反となります。

従業員に労働基準監督署に申告があると…
正されることになりますので、 ご注意を…