No.47: 育児休業の延長が難しく…
令和7年4月より育休延長のルールがかわります。



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東大卒社労士/行政書士
渡辺真人社労士事務所
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簡単にできなくなる?育児休業の延長…

2024年7月1日厚生労働省のHPに「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」 と題する周知が公表されました。
実は、かなり重要な内容です。
社労士の連合会からの連絡が来るまで見落としていました。テヘ(#^^#)

何が重要かというと、1年から1年6か月に延長する際、1年6か月から2年に延長する際、 の必要書類が増えるからです。

これまでは、延長申請の際、区役所等から発行される「入所保留通知書」等のみでよかったところが、 新たに、「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」「市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し」 が必要になりました。

必要書類が増えたから、何?という感じもしなくもないんですが、
この書類が増えることによって、簡単に(言い方に語弊があるかも…)育休の延長ができなくなります。

何故?こんな改正になったのでしょうか?


 


  育児休業延長の本来の趣旨


育児休業は原則、1年となっています。
さりながら保育環境の関係もあり、保育環境を整えるのが厳しい方には、 猶予期間を与えるというものです。
ですので、例えば、近所に祖父母がいて、面倒を見てもらえる環境がある場合等 は、延長はできないということになります。
ただ、
実運営上は、ほとんどの場合は、子供を預ける保育園がみつからないならば、その猶予期間として 半年単位で最長2年まで、延長をみとめるというものです。

故に、本来の流れは、子供が1歳の誕生日の月から入所できる認可保育園の募集に応募はしたものの、 外れてしまったので、子供の誕生日の2週間前までに会社に申し出て延長するというものです。

実際の現場では…

人それぞれによりますが、より子供と一緒に長くいたいお母さまは多いようで、 保育園事情とは関係なく、延長を望む方は多くいらっしゃいます。

さりながら、現状でも、「入所保留通知書」は必要ですので、 子供の1歳の誕生日の月から入れる保育園等に応募し、外れる必要があります。

好ましくない例が挙げられています。
・チャンス2回
 早めの募集にまず応募…外れればよし
 当たったら辞退をして、次の応募に賭ける。
・競争率の高いところを狙い
 住所が離れていようと、競争率の高いところを狙って応募 

なお、チャンス2回については、区役所等の発行する「入所保留通知書」にその旨が記載される場合があるそうで、 その場合、「ハローワークは、保育所などの内定を辞退した理由を本人に確認することとし、やむを得ない理由がない場合には、育 児休業給付金が支給されないこととなります。」ということであり、厳しい対応をすることになっているようです。

ただ、厳格に運用は…という状況であるのかと…
厳格に運用されていれば、今回の話にはならないので…
結局は、皆様、いろいろと工夫をされて、
保育園事情とは関係なく、自らの意向で延長の有無を決められるという
状況にあります。(厳格に運営している自治体であれば、そうじゃない場合もあるでしょうけど…)

僕が過去、担当した時は、地元の自治体に相談に行って、保育園の申し込みを忘れないように…と ご連絡をしていたのですが、全員、延長されていました。

実質、これまでは、「望めば…」希望が叶う実態があったように思うのですが・・・
これからは変わるようです。



 

 



 今回の改正の趣旨


自治体の負担軽減

そもそも、
自治体から
保育所等への入所意思がなく、給付延長のために申し込みを行う者への対応に時間が割かれる
意に反して保育所等への入所が内定となった方の苦情対応に時間を要している
として、見直しの要望があり、
これが発端として、今回の改正になったようです。

改正の趣旨

要するに、入園の意思のない申し込みをなくしたいということで、 「保育園等の利用申し込みが速やかな職場復帰のために行われたものであると認められることが必要」 という条件を課しています。

求められる対応

2025年4月以降に延長する場合、以下の対応が必要になります。
入所申し込みをしたというエビデンスを確実に残す。
これまでも実際に申し込みをしていないと「入所保留通知書」を発行しないことにはなっていたようですが…
今後、この件について、役所の柔軟な対応はない…ということかと思います。
たとえ、柔軟な対応であったとしても、このエビデンスがない場合は受付ないということなので、 申し込んだエビデンスは必ず、保管する必要が生じます。
申告書
ここで、「速やかな職場復帰のために入所申し込みをしたんだけど…」ということを 申告することになります。ここに疑義があれば、ハローワークが調査をすることになるようです。
入所保留通知書(今まで通り)


故に、事業者の方は、育児休暇中の従業員に、この旨を通知しておく必要があります。

前提条件が大きく変わる…

本音ベースでいいます…
今までは、「延長」を前提として、事業者は、従業員に連絡をしていた場合が 多かったのではないか?と思います。
なので、従業員には、 「役所と連絡をして、入所保留通知書を取得したら会社に送ってね!!」 なんて周知していたところが…これができなくなります。
前提はあくまで、「復職」であり、
復職のため、保育園を探したがみつかなかった…という場合において 延長ができる…というように変わります。

本来の趣旨とは異なり…
育休を利用する人で、育休は2年まで延長できるのは権利…と認識する方が ほとんどです。

だから…
最初は揉めるでしょうね…
行政の担当官の方々も、かなりタフな対応が求められるかと思います。

しっかりとした周知が必要…

本来の趣旨をしっかりと認識する必要があります。
原則、
育児休暇は、1年
保育園をちゃんと探して職場復帰をする
です。

もし、保育園が見つからなかったときは、 半年間猶予をもらえるという救済措置がある。
もし、さらに見つからなかったら、さらに半年間の猶予が貰える と…


育休の1年6か月まで、2年までの延長は、あくまで救済措置であり、 そもそもの権利でないと考えるべきかと…思います。

ギリギリになってからの周知では、色々と大変になりますから、 従業員の方には、早めに周知をしておきましょう。