No.38: 他人事で済ませてはいけない!
いなば食品の違法行為!



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ありえないわ! こんな労務環境

いなば食品の労務環境に関するニュースがちらほらと みられるようになってきました。

要するに内部告発がポロポロという感じなのかと…
聞くにつけ、 「それ法律違反だよね」というのがボロボロでてくるし、 公私混同が・・・ということで、

一言であらわすなら…こんな大企業なのに…
ありえないわ!
です。

 



















ただ、実際、ほかの大企業の幹部には公私混同はないのか?
と問われれば、僕が、上場企業にいたとき、準幹部の上司から聞いた話ではまあ…あるみたいです。
ただ、それに関与するような従業員は、その後、いい待遇が待っているわけで…
喜んでやっていたようです。



冷静に考えて、目の前にある権力の使い方は、非常に難しいです。
公私混同は絶対にまずいということは簡単ですが、 実際は…という部分が否めないのも事実です。
(ただ、公式的な表の発言をしてと言われれば…公私混同は悪ですが…)



 


 他人事で片づけられない…いなば食品の違反行為


報道内容を見ていくと、「労働条件を明確にしない…嘘をつく」「有給は許可制:不当な理由なら却下」 「ルール違反時 給与1年分を払えという誓約書」「私用に従業員を使う」 「いなば食品が食品衛生法違反を隠ぺい」等の違反行為が記載されてました。

これらの違反、大企業としてはあるまじき内容です。
ただ、必ずしも、他人事と言えない部分もあります。(ここは度を越えてますが…)
ということで、ひとつひとつ見ていきたいと思います。


労働条件を明確にしない…嘘をつく
今回の騒動の根幹ともいえる部分です。
報道によると、以下のような辞退者の話があります。
「募集要項に給与が22万6000円とあったが、入社の段階になって、『給与は決まっていません』 と言われ、あらためて問い合わせると、19万6450円と告げられた」
「昨年11月末にあった懇親会の時点で、労働条件を聞いても『わからない』という返答ばかりだった ので違和感はありました。ただ、『給料に関しては改定する』とのことだったので、 あまり気に留めていませんでした。 しかし、何度もお願いしていたにもかかわらず、 労働条件通知書を渡されないまま研修が始まったので、入社辞退を決断しました」

ここからわかることは、この会社、明確な給与規定がないということです。
中小企業ならわかります。けど、この規模になって、担当者が上の意向を確認せねば、 答えられない状況というのは…おかしいと思わずにはいられません。
本来、給与規定がしっかりしていれば、それに基づいて即答できるはずです。

次に、いい待遇で人を釣っておいて、実は、給料は安かったわ…職種も違うわ…という点です。
担当者の言い訳も「一般職の方が、総合職のお給料として提示されていた金額と比べて、 “金額が低くなった”と事実誤認されたのだと思います」というこの規模の事業者 としてはありえない対応に、驚いています。

少なくとも。・・・
労働条件通知書を事前に示していないということで、労働規準監督署が関与した場合、 労基法15条違反(罰金30万円以下)を課すことになろうかと…
さらに嘘をついたということが認定されるならば、民法上の損害賠償案件のような気もします…

ただ、ここまでではなくとも、求人でいい人材を集めるため、給与を高くみせようとしたり、 事務と言っておいて実は営業だったなんて話は、実際、あります。
僕もありました(求人の金額とは全然違う金額と職種での契約です。
でこの時の求人での採用は確か3人、求人の提示金額を貰っている人はいなかったような… ちなみに僕は2か月で離職)。
ほかに選択枝がなければ、それでも頑張ることになるのでしょうけど…職種までということ になるとミスマッチになる可能性が高いし、その分、離職率は高い気がします。
実際、その企業の離職率は高かったです。

できるだけ正直であるべきと…


本来あるべき入社時の手続について、
興味のある方は コチラ



有給は許可制:不当な理由なら却下
これ見て驚きました。
社内のルールブックに記載があるようです。
結構、膨大なページになっていて、朝礼で、一部読み上げているとのこと。 (会社のルールをしっかり知らせるという一点においては大いに評価できます。)
(けど、これ就業規則にあたるのでしょうけど…こんだけあって、給与規定ないんだという驚きが… 揚げ物は食わないように…という仕事関係ないような記載もあるということから、うーん…ちゃんと就業規則、 労基署に届け出しているんだよねぇ…という疑念がわきます。)


でこのルールブックに、「会社はそれなりのコストをかけて有給を出しているのだから、 正当な理由のない有給は認めない…」と言い切っているということです。
はい違反です。
有給は、従業員の請求した日にとらせることがルールです。
事業者に時季変更権はありますが、従業員の理由は問うてはいけないのが現行ルールです。
それに今は、年五日以上事前に有給の日程を定めることがルールになっています。(ちゃんとされているのかしら・・・)

ちなみに有給に関する違反をすると 六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰則が規定されています。

なお、ときたま、「当日、もしくは日数を経てから、有給の請求があった場合、法律上、 事業者はこれに応じる必要はない」という解説文を目にします。
実は、これ事実で、 昭和48年3月2日の最高裁で、有給は、事業者の時季変更権が行使できる状況に あることを条件として発動云々の記述がありまして、事後ですと、時季変更権の行使は不可能ですから、 つっぱねることができるということです。
しかし、病気とかやむない事情で休んだ場合は、有給として認めるのが社会通念上のルールと思います。
つまり、事後請求であるならば、事情を聞いて判断するのはありですが…いなば食品の場合はアウトです。
(というか、こんなルールの就業規則、行政がよく受け付けたなぁと思うので、やっぱり、 ちゃんと届出してないのかしら?と思ってしまいます。)



ルール違反時 給与1年分を払えという誓約書
これを見たとき、正直、
驚き、モモノキ、サンショの云々です。
労働者が実際に、会社に損害を与えた場合、その損害を賠償するということは禁止されてません。
しかし、ルールを違反したら、給料1年分という懲罰は、重すぎるというか?
もう、公序良俗に反したルールといっても過言でないかと…
どう考えても、無効かと…
それに、どのみちとれるわけのない金額を懲罰にいれてどうしたいの?
と問いたくなります。

あっ
ちなみに、懲罰等を従業員に課す場合は、事前に就業規則に記述しておく必要があります。

これ、認識のない中小企業は多いと思います。
思いつきで、罰金等をとることは法律違反です(僕の過去、とある会社で実際にありました。)

例えば、遅刻が多いので、遅刻を減らすために懲罰を課そうというならば、 ちゃんと手続きを踏んで、就業規則を変更し、その変更内容を従業員に周知しなければ、 懲罰はできません。





私用に従業員を使う
「一族の旅行へ同行、一族の家事、社長の子供の学校関連の世話をやらされる家政婦状態」 なんて文言がありました。

一応、労働契約は、事業の部分に対する契約なので、事業者の私的な部分について使役される理由はないと言えます。
さりとて、実際は、なんらかの名目をつければ…仕事じゃないけど、従業員が自主的にやってくれたみたいにして…という側面があるのも否めないところです。
ただ、ここで聞く内容は、少々、度を超えているような気がします。
少なくとも、従業員がどう考えるか?ということを考えねば…
こんなことを続けては
将来、従業員から見限られるかと…
実際、今、告発めいたことが続いているのはその証左でしょう…



いなば食品が食品衛生法違反を隠ぺいしていた
無許可で工場を2か月創業してたそうです。
ちょっと、この規模の事業者にしてありえない話です。
法を守るという観念が欠如しているような気がします。
当局もしっかり対応すべきと思います。





 

 



 いいところもある…しかし時代の変化に対応できてない…


色々と記事を読んでいたんですが、悪いところばかりではないです。
こんな文書がありました。
「いなば食品は独身寮がボロかったり、一族の世話をさせられたり、揚げ物禁止だったりする会社だけど、 賞与が9ヶ月分以上出たり、課長代理までは自動昇格だったりと、金払いはいいんだよな。」
ということです。

賞与9か月と聞くと…僕的には、かなりいい会社と思ってしまいます。
課長代理までは自動昇格…これも競争体質でなく、わきあいあい家族的社風を感じます。

思うに、公私混同が緩かった昭和堅気な経営をずっと続けてきた企業なのかなぁ…と端的に感じたんですけど 色々見ていくと、経営一族の自制の問題であるような気がします。
正直、常軌を逸しています。…ハラスメントもすごいようですし…僕は無理かも…

そして、ここは度が過ぎていて論外としても、程度の差は大きいですが、似たようなことがあるのは否めないような気がします。
ただ、時代は変わってきています。
いかなるハラスメントも法律違反に対しても社会の目は厳しくなっています。
また、労働人口が現象していく日本において、従業員を大切にしない企業は、従業員からそのうち見放されます。

過去、長い日本は停滞期にあり、入社前の約束とは違うけど…今はここしか…ということで働き続けてくれた従業員は、 どんどん、他の選択枝が増えてくるのです。

もし、ほかに移動先があったとしても、会社に残ってもらうために、会社へのロイヤリティを高めるにはどうするか? これを考えていく必要があると思います。