No.29: 入院手術時に使える「健康保険限度額適用認定」ってご存じですか?



労務のことなら… 迅速・丁寧・低料金
東大卒社労士のいる
渡辺真人社労士事務所に・・・
〇初回無料相談は、コチラ
〇当事務所HPは、コチラ

「健康保険限度額適用認定」ってご存じですか?

まず、高額療養費の制度をご存じでしょうか?
入院や手術で思わぬ大きな出費になっても
過度な負担にならないように
健康保険が補填してくれる制度です。

意外と知らない方もいらっしゃるようで…
僕が大手のサラリーマン時代、
痔の手術をしたとき、総務担当が
しっかり忘れてまして、
権利を放棄する結果になったことを
未だに覚えて(恨んで…まではいないけど…)います。

会社において総務を担当している方は、是非、覚えておくべき 制度であると思います。

 























 


 高額療養費制度の概要


高額療養費制度を利用すると1月単位の医療費が
所得/年齢に応じて定められた上限額を超えた部分を
健康保険組合が補填してくれるという制度です。

例えば標準報酬26万円の会社員の方が
入院手術して、1か月の病院から請求された医療費の 金額が50万円としましょう
一旦、50万円を支払う必要ありますが、
この高額療養費制度を利用すれば 44万円程度が戻ってきます。



あと、いきなり50万円とか医療費を払うの大変じゃないですか?
そんな時、利用できるのが、
「健康保険限度額適用認定」
です。

これ、
知る人ぞ知る制度です。
これを利用すると、そもそも病院の請求が6万程度になります。
それを超える部分は、病院が健康保険組合に請求するという形になります。

僕の場合、2回目の「痔ろう」の手術入院をしたときは、ちょうどコンビニ失敗して無職時代でして…
本当に、この制度に感謝、感謝でした。

なお、注意点があります。
〇注意点1
なお、補填される治療費は標準治療に限られています。
標準治療にない先端医療を利用する場合は、カバ-されません。
これをカバーしようとするなら、民間のがん保険等に入っておくことが必要となります。

〇注意点2
また、食費は別途です。(正確には、食費部分にも食事療養費というものが使われていて 収入に応じて、1食あたりの食事代が決められています。)
イメージ的には、
病院では、1食800円のものを提供するとして、
460円を患者が負担、360円を食事量療養費を充てるといった具合で提供されています。

〇注意点3
1月単位というと「1月16日から2月15日まで入院した場合 ちょうど ひと月だからこれに対して補填してもらえる」 と思う方も多いのですが、
この場合
・1月16日から1月31日で限度額を超えた部分
・2月1日から2月15日で限度額を超えた部分
を補填してもらう形になります。

つまり歴月単位で区切るということになっています。
病院の請求も、月末締めですので、連動しているのです。
なお、
入院で日程が選べる状況にあるなら、 月頭から入院するのがお得となります。
(ただ、病気を治すことが優先なので…そこはお含みおきを…)

収入別の限度額の表は以下です。
 

























なお、上記、説明は簡略化しています。制度の詳細は コチラ

 

 



 利用するにはどうすれば…


手続は簡単です。
もし、入院や手術を予定する方がいらしゃったら、 教えてあげて下さい。


〇国保の場合…
入院もしくは手術の予定が入ったら、 地元の区役所、市役所の健康保険課に行って下さい。
「今度、こういう病気で入院します… 健康保険限度額適用認定をお願いします」
と言えば、原則、ほどなく認定証を発行してくれます。

そして、病院にそれを提示すれば、その掲載されている限度額以上は 病院代がかかりません。

ちなみに僕の母は、白内障の手術をしたのですが、
2か月にわたって治療を受けましたが、 総額3万円とちょっとで済みました。

本当に
健康保険限度額適用認定
おかげです。

〇健康保険組合の場合
中小企業の方が加盟するのは、ほとんどが 全国健康保険組合(通称:協会けんぽ)かと思いますので、 その説明をします。

自分もしくは、扶養になっている家族が入院・手術することになったら 会社の総務担当に相談しましょう。

総務担当の方は、県ごとに協会けんぽの連絡窓口があるので、
所定のフォーマットに記入して、送付すれば、 限度額認定証が送られてきます。
そして、それを病院に提示すれば利用でします。

〇傷病手当について
また、社員の方が病気で長期に会社を休む場合、 傷病手当の手続も引き続き行うことになりますので、 準備をしておくとよいと思います。
傷病手当は国民健康保険にはない制度です。
単純に言うと
病気で休んで給料が出ない期間、標準報酬額の約66%が手当として支給されます。
その意味で、従業員の福利厚生として非常に重要な制度であると思います。

社会保険の費用は、事業者にとって、非常に重い費用であることも事実ですが 従業員の生活を守る意味でも有意義な制度であることを理解の上、 利用されることをお勧め致します。

 


























ただ、傷病手当は1年6か月までしかカバーできません。
さらに、従業員に安心して働ける制度を考えるなら 民間保険を利用することも考えては?と思います。