!DOCTYPE html> 赤門社労士の独り言(65)|デジタル給与 時代の変化についてけるだろうか?
 

No.65 デジタル給与 
僕は時代の変化についてけるだろうか?



デジタル給与 僕は時代の変化についていけるのだろうか?

Paypay等、電子マネーを利用する人をよく見かけるようになりました。

数年前、そんな昔ではないような気がしますが、CMでPAYPAY今申し込むと…
という時に、申し込みをせず…
ここまで時が流れ、スーパー等で人が使うのを見て、
未だに、よく仕組みを理解していない
これでも応、きっと、多分、赤門出身の社労士であります。
で、
は時代の変化についていけるのだろうか?
そんな不安を感じる今日この頃であります。

さておき、
給料の支払いも、デジタル給与ということで、給与の一部をPAYPAYのような
資金移動業者に振り込む制度が導入されているということは存じておりました。
実は、厚生労働省の報道発表を眺めていた時に、
auペイメント株式会社が指定業者になったとの発表を見て、
導入方法について、ちょっと書いてみるか?と思い
筆をとった次第…(実際はキーボードを叩くんですけど…)



 


 そもそも法律上は、現金払い!


そもそも法律上は、給料は、現金払い!
ってこと知ってました?
何言ってんだ!という人も多いような気がします。

よくお客様とこの話をすると、「へーそうなんだ…」とちょっと尊敬してもらえる…というか…
さすが、社労士みたく思って貰えるんで(^^)/
鉄板の話とも言えるんですけど…

労働基準法第24条には、以下のように賃金支払いの5原則というのがあります。
①通貨払いの原則: 賃金は通貨(日本円の現金)で支払う必要があります。
②直接払いの原則: 賃金は労働者本人に直接支払いをしなければなりません。
②全額払いの原則: 賃金は全額を労働者に支払わなければなりません。
④毎月1回以上の原則: 賃金は毎月1回以上支払う必要があります。
⑤一定期日払いの原則: 賃金は一定期日ごとに支払われるべきです。
上記のみをみると矛盾しているじゃないか?
と思うでしょうが、実は、①の部分については続きがあって、
「労働者の同意を得て、銀行口座に振り込める云々」という規定がありまして、
これにより、ほとんどの事業者が、 銀行振込を利用しているという状況です。

僕の経験上、80年代は、まだまだ、現金、受け渡しが多かったような気がします。
大学時代、豊島園でバイトしておったのですが、中途から、 銀行振込に変わって、急遽、口座を作った思い出があります。

聞くところによると、戦後ずっと現金支払いが主流だったそうですが、
若い人は知らないかもしれないですが、
東芝のボーナスが奪われた3億円事件が、
給与の銀行振込の流れを作ったと
よく言われる所です。

ところで、何故、現金で、直接、全額を本人に…なんて規定ができたと思いますか?
言っていいことか?正確に言えているか?疑問なので、
個人的見解も含むということで、聞いて頂きたいのですが、
戦前の労働者は非常に弱い立場にありました。
いろんな名目をつけて、賃金を減らしたり…
借金のカタに、他人を働かせたり、売ったり…
今では、信じられない環境です。
少し、話がずれますが、昔、こんな記述を見て、驚いた記憶があります。
東北地方の貧しい農家の親が戦地の次男坊に向けて以下の内容の手紙を送ります。
「ゆめゆめ、生きて帰ってくるな…」と
どういう意味かわかります…
お前が死んでくれれば、国から恩給がでるから
お前は死んでくれ・・・家族が助かる…
という事だそうです…
戦前は、そんな環境にいた方がかなりいた…ということです。

故に、戦後、雇い主や第三者に不当に搾取されないようにしようということで…
・賃金は働いた本人に…
・借金があるからと言って、給金から抜くことなく、全額を現金で…
という規定が制定されたと…

ただ、実際、今も会社にお金を借りて…
給金から返済…ということは行われているようです。
借金を理由に働くことを強制するようなことをすれば、違反になりますが、
借りた本人の意志で、返すということが担保できていれば、
法律違反にはなりません。

脱線しまたが、
要するに言いたいのは、従業員の意志を尊重して対応するということです。
労使協定とか体裁はありますが、根底はここにあります。
なので、住宅ローンの返済とか、生命保険等の料金について
給料から控除して、事業者が代わりに払うという制度を
とっているところも多く…
今回のデジタル給金もこの流れである…と僕は思っております。


 

 



導入に向けた手続きについて…


従業員で、PAYPAY等を利用しているものが多くて、
「給料をPAYPAYでもらいたい!」
なんて声が多い場合、
以下の手続きを踏んで下さい。
➀厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)の確認
現在(25年4月)は、以下の4社のようです。
〇PayPay株式会社
〇株式会社リクルートMUFGビジネス
〇楽天Edy株式会社
〇auペイメント株式会社



➁導入する指定資金移動業者のサービスの検討
従業員の要望を確かめ、資金移動業者ごとのサービスを確認して、利用事業者をどこにするか考えます。





➂労使協定の締結等
労働者の合意を得る必要があります。労働組合がない場合は、労働者代表と書面を交わして、労使協定の代わりとします。
決めるべき要素は以下です。
(1)対象となる労働者の範囲
(2)対象となる賃金の範囲とその金額
(3)取扱指定資金移動業者の範囲
(4)実施開始時期
また、場合によっては、就業規定等の社内規定の見直しの必要がある場合もありますので、自社の社内規定を確認します。



➃労働者への説明
個々の労働者に対し、決まったルールを説明する必要があります。




➄労働者の個別の同意取得
利用を希望する個々の労働者に対し、同意書を取得します。 この際、従業員に強制することはできません。あくまで、従業員の希望に沿った対応をする必要があります。


詳細は、厚生労働省のHPをお確かめ下さい。