!DOCTYPE html> 赤門社労士の独り言(63)|102時間残業させたら、書類送検される?
 

No.63 102時間残業させたら、 
書類送検される?



102時間残業させたら、書類送検される?

102時間残業させ送検 社労士が助言も改善せず 大阪南労基署

なんて記事を見つけまして…
えっ…そんなんで書類送検になるの…と
社労士の発言としては恥ずかしいのかもしれませんが、
長く働くのが美徳という社会に身を置いていた時間が長かったもんで…
どうしても、そう思ってしまいます。

ちなみに記事元は以下
https://www.rodo.co.jp/news/193103/




 


 で、事実を確認してみる。


大阪労働基準局の報道発表を検索して、該当のプレスリリースを発見しました。
結論からいうと、
102時間残業させたことのみではなく、
ここはめっき工場なんですけど、
本来、工場であるがゆえの安全配慮の義務があるのですが、 その義務を怠り、従業員を危険にもさらしたということも あって、書類送検となったようです。
事件の概要は以下の通り

(1) 被疑者Bは、同社の労働者2名に対し、労働基準法第36条で規定する時 間外労働・休日労働の労使協定(通称:「36さぶろく 協定」)の延長時間を超えて違 法な時間外・休日労働を行わせたもの。
(2) 被疑者Bは、工場内のめっきラインで六価クロム(特定化学物質で、第二 類物質のうちの管理第二類物質である「クロム酸及び塩」の通称)を使用す るのに発散防止のための局所排気装置等の設備を設置しなかったもの。
(3) 被疑者Cは、工場内のめっきラインで六価クロムを使用する作業に従事す る労働者に特殊健康診断を受診させなかったもの。


以下がプレスリリースです。
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/content/contents/202502191300.pdf

ちなみに36協定には以下のように限度時間があって、この工場の場合は、これも超えているので・・・
時間外労働の上限(「限度時間」)は、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなけれ ばこれを超えることはできません。
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、 月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。また、月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。


 

 



◇ 働き方改革は進んでいるんだろうか?


進んではいると思います。
けど、どうしようもない部分もあるわけで、
推進する官庁街も深夜、電気がついているということで…
なかなか、額面通りにはいかないという部分が…

なにが言いたいかというと…
昔、僕がいた会社を思い出すのです。
その時は、会社の業績が悪い時だったんですが、一般社員の残業は しないことになりました。
けど、定時になったから帰れるか?
否!
でした。
けど、部署的には、残業はしていない体をとるので…
要するに、サービス残業deathです。

切ない時代でした。

今は、労働者、経営者の認識も、大分、変わったと思うので、 改善されているとはおもうんですけど…

さておき、統計上は、労働時間は削減されているようです。
実際、政府の働き方改革に対する広報の力もあって、この言葉が浸透しているようですし。

以下ちょっと古いですが厚生労働省の労働条件分科会(第177回)の資料より抜粋します。

【年間総労働時間の状況】
憲法25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
とあるように健康で文化的な生活をするには、働きすぎはまずいわけで、 年を取って思うのですが、働きすぎは注意散漫になってミスもでるし、 本当に、効率が悪いと感じます。
どうしても時間のかかる仕事もありますが、技術の発展等を活用し、 効率的な業務の遂行を考えていく時代になったと思います。



【パート/一般労働者別状況】
下の図右側がパートタイムと一般労働者別にみた年間総労働時間の状況 となります。
これをみると、上の図のように劇的に、時間が短縮されたのでないことが わかります。
ある意味統計マジックというか?上の図だけ見ていたら、労働時間は 理想通り削減されていると思ってしまうのではないでしょうか?
実際には、時間の短いパートタイムの方が増えることによって 平均である年間総労働時間が削減されているということになります。
ただ、一般労働者も、着実に労働時間の短縮が進んでいるのは 明らかです。



最後に…
現行ルールでは、原則みとめられていないとは言え、
残業時間102時間で書類送検をされたことは正直驚きでしたが…
もう、そういう時代になってきたんだなぁと経営者の方々は
考えを改めていく必要がでてきたんだと改めて思いました。

確かに、この事例は、他の重大な違反もあっての取り締まりではあると思いますが、 人の忍耐力というかストレス耐性力に差はあるものの、長時間労働が心身に悪影響を与えることは もう疑う人はいないと思います。

そして、人出不足の時代である今、
今まで以上に、従業員の健康、働きやすさを考えないと
経営が厳しくなるということを踏まえ、
労務の改善を考える時であると思います。

あっ!お手伝いしますよ!
もし、労務環境を変えたい?
もしくは、渡辺事務所に恵みたい!という奇特な方が
いらっしゃいましたら
初回は無料相談をしておりますので、是非、ご連絡頂きたい…と…