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裁判までの概況と行政の判断概況
タイ人女性は、自国での生活が貧しく、日本に不法入国した。
その後、寿司職人と結婚 長女 次女を出産 この際、不法入国状態を解消するため、本国に一旦帰国し、 日本人の配偶者としての在留資格にて、再度、日本に入国 しかし、男性の浮気により離婚 この際、2女の親権は得たものの、自分の経済状況及び 子らが分かれて暮らすことを懸念して、監護権を当面の間、元夫に渡していた。 この女性は、当初は、娘たちとタイに帰国することを考えていたが、 日本で生まれ育った娘たちの環境を考え、将来的に、娘たちと一緒に暮らしたいと思い、 その時の滞在資格「短期滞在」から「定住者」の資格に変更申請をしたところ 行政より不許可処分を受けた。 行政の法的見解(申請を不許可にした理由)
等の判断から当局は、この女性の申請を不許可とした。 |
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血の通った判決!!!本当に、この判決文は感動ものです。 もし気になる方は、「東京地裁平成14年4月 26日判決 在留資格変更不許可処分取消請求事件」でググって下さい。 女性のこれまでの状況とそして頑張り、娘たちのために一生懸命に働き、娘たちのために生きる行動を記した上で、 当局の女性に対する誤認を説き、新たなる法的解釈を加えることで、女性の主張を認めたのです。 一生懸命に生きるタイ人女性
次のように、不法入国をしたことに対しても、事情があったこと、そして彼女に悪いところはなく、
娘たちのために、一生懸命に頑張る姿が説明されています。
貧しく育ったこの女性は不法入国をした。 銚子で寿司屋を営む一家の息子と内縁関係を経て、結婚、その間に2子を出産。 結婚当初、元夫の両親、祖母と同居して、家業である寿司店を手伝いながら、 家事全般から従業員の食事の支度、店の掃除、洗い物など一手に引き受けて近所でも評判の 働きぶりであった。 しかし、この元夫は他の女性と浮気。(はっきり言ってちゃらんぽらんの方) 当初は、娘たちのことを思って、離婚を思いとどまっていたが、 家を追い出されるようなこともあり、離婚を決意。 支援団体の支援を得て、調停にて離婚。 二女の親権を得た。しかし、当時経済的に不安定であり、2人の娘を引き離したくない彼女は 元夫に、当面の間監護権を委ねる。(夫の家は、寿司屋を代々営んでおり裕福、かつ、その父母も含めて 子供たちを可愛がっており、子供のことを考えての判断) そして自らは、東京にて、最初は清掃系の仕事、ついで、タイ料理店等に勤務、経済安定性をえるため、 懸命に働き、よりよい環境を得るために働く。(平成初期の頃、外国の方が、働くには、正直、 厳しい環境であったはず…大分、やな思いをさせられたであろうことは、書いてなくてもわかる) また、娘たちとの面会を欠かさず行い、銚子に出向いたり、娘たちを自らの東京のアパートに招き 娘たちとの時間を大切に過ごす。 少ない賃金の中、この面会費用を捻出する上に、貯金もして将来に備えている。 彼女は、元夫が再婚して、娘たちが元夫の傍で、いずらくなったら引き取ろうと考え頑張っていた。 対して、元夫は、娘たちを可愛がり、元妻と子供の面会を邪魔しないものの、 仕事中にパチンコ屋に行ってしまったり、時折、娘たちをほったらかしにして、 消えてしまう等、いい加減なところが目立つ状況にあった。 裁判所の判断
「本件告示及び本件通達に定める事由に直接該当しない者であっても、
本件告示及び本件通達に定められた事由と同相すべきような特別の事情が認められるときにまで、
本件告示及び本件通達に定められたものと異なる取扱いをすべき合理的理由はない」
ということで、「定住者」となる要件をみとめるべきと見解を示したのです。
控訴もなく、地方裁判で行政側がこの判断に従ったこともいい判断であったと思うのです。要するに「監護している」という要件を満たしてなくても、 その要件の文言通りでなくても、 同等の事情があるならば、認めることに問題はないと公に認めたのです。 また、行政の電話記録には、元夫との話が記録として残っており、 このタイ人女性は、日本に残るために、不当に親権を主張した…類の記録が残っていたそうですが、 それは、子供たちと暮らすことを目的としたものであり、不当な目的によるものでなく 行政の誤認であることを明確にしました。 あと日本への定着性についても以下のような判断基準を示しています。 本邦への定着性は、必ずしも在留期間の長短によつてのみ判断されるべきものではなく、 在留目的、在留時の生活状況、家族の状況等を総合的に判断するもであるとしており、 これをこのタイ人女性にあてはめた場合、 結果は自明だと思うのです。 鬼じゃなきゃ、 貧しいから、生まれた国をでて、 最初は不法だったかもしれないけど… 家族を得て、真面目に暮らそうとしたら… 伴侶に裏切られ… それでも… 苦境に落ちながらも、娘二人のために、 懸命に働き、経済的安定確保に、汗を流し… (異国での労働は、そうでなくても厳しい環境です) その苦しい生活の中でも、娘たちとの交流のために お金を捻出し、貯金をして頑張る… こんな状況を見て、 他の判断はありえないだろうと思った次第です。 悪徳なものは排除すべきだけど… 一所懸命に頑張る人を排除するような 血の通わない法律ではあってはならない…と思いました。 (力のない いち市民が吠えたところで、何もかわらないんですけど…) 思うに… 申請段階で、この状況を正確に伝えていたら… どうなったんだろう…と思わずにはいられません… ただ、行政の裁量権が大きいとは言え… 行政の担当官も、内部には公表しているいないにかかわらず判断基準があるわけで… 心情的には、同情しても、どうしようもなかった可能性もあるわけで… ただ、この判例ができたおかげで… 少なくとも、同様な内容の場合、 真面目にやっているにも関わらず… というようなことは、申請時においても説明を尽くせば… わかってもらえるわけで… 僕が、将来、もし、このような事案にあたった場合は、 一所懸命に頑張りたい…と… |
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